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「僕たちのチーム」のつくりかたを読んで — フラットな場とファシリテーター

Posted on:2026-06-30

伊藤羊一 著の『「僕たちのチーム」のつくりかた メンバーの強みを活かしきるリーダーシップ』を読みました。1on1、会議、ゴール設定、ヨコの場といった具体的なカテゴリごとに、フラットなチームのつくり方が書かれている一冊です。

理論だけでは解けないリーダーの悩みに向けた本、という位置づけですが、読み進めるうちに「そうだよね」と何度も頷いた部分がありました。ここでは、印象に残った論点と、自分の経験と重なったところを整理します。

https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2910-8


リーダーの最優先事項は、強みを活かしきること

本書の序章から繰り返し出てくるのが、リーダーの最優先事項はメンバー一人ひとりの強みを活かしきること、という考え方です。

リーダーの仕事は大きく2つに分かれます。

  • チームをゴールに導くこと
  • メンバー一人ひとりに働きかけ、それぞれの強みを活かすこと

チームメンバー一人ひとりが主人公である、という言い方が本書にはあります。主体性を持って動けるチームは強い。一方で、やらされ仕事のチームはロボットのように働かされ、パフォーマンスは出にくい。生き生きと働くチームをつくることも、リーダーの仕事のうちに入る、という整理です。

肩書や年次に関係なく言いたいことが言い合えるフラットな場をつくる。指示より先に聴く。みんなが主体的に話す会議を設計する。ゴールは上から降ろすのではなくチームで決める。組織の縦割りを越えたヨコの場をつくる。そうした要素が、目次にもそのまま並んでいます。


ヒエラルキー型組織では、新しいものは生まれにくい

1章で印象的だったのは、ヒエラルキー型組織では新しいものが生まれにくい、という話です。

フラットな場をつくるためには、物理的な環境も含めて意識が必要だと書かれています。オフィスの机の配置から、ヒエラルキーが読み取れることがある。リーダーと話しやすいのがサブリーダー、次が先輩、若手は割り込まなければ話せない——そういう座席の並びは、緊張して言えなくなる関係性をそのまま形にしている、という指摘です。

本書では銀行時代の例も出てきます。私自身が銀行で働いたわけではありませんが、机の配置や会議の発言順が決まっているといった点では、似た環境を経験したことがあります。ヒエラルキーが明確なチームほど、会議でも発言の順番が固定されている。まさにそうだ、と感じました。

以前は、ヒエラルキーに従って仕事をするのが当然でした。仕事には正解があり、経験を積んだベテランが正解を知っている。だから管理職になる。管理職が正しい、という社会だった、という整理です。


高度成長期の「正解」から、いまの「Why」へ

日本が高度成長期に勝てたのは、どこかの国の正解を改善し、高品質・低コストで製造できたから、という話は本書にもあります。自動車や冷蔵庫を日本が発明したわけではない。既にある正解を、よりよくしていくゲームに勝った。

その時代に求められたのは、個性より正確さとスピード。ものごとを正確に、速く処理する能力です。

一方、現代は違うものが求められています。モノの大量生産や改善は続きますが、それに加えて新しい価値が必要になった。なぜそれをやるのか——パーパスが問われる社会です。便利にするだけでなく、人々の幸福に貢献しているか、と問われる。

幸福の感じ方は人それぞれです。Why が問われるほど、一人ひとりの頭の中、心の感じ方が重要になります。

本書では、この対比をタテヨコで整理しています。

特徴
タテ ヒエラルキー・画一性
ヨコ フラット・ダイバーシティ&インクルージョン

新しい価値を生むには、一人ひとりの存在が大事になる。1on1のコミュニケーションも含め、多様性を受け入れる関係性が必要になる。正しいプロセスや勝ち筋は、みんなで作っていく——という流れです。


リーダーの役割はファシリテーター

本書の核心のひとつは、リーダーは指導者である必要はなく、ファシリテーターである、という考え方です。

環境づくりが仕事の中心になります。メンバーにとって安全で安心な場をつくる。心理的安全は、ここに当てはまります。目標は来たくなる場所にすること

ネガティブな朝の例として、「今日は会社に行きたくない」「オンラインの会議に出たくない」が挙げられます。対照的に、「今日はこのネタをみんなで話そう」「久しぶりの出社だから、ランチに誘ってみよう」——そう思える雰囲気が大事、と書かれています。

私自身は、後者のマインドで朝を迎えることが多いです。「今日はこのネタを話そう」と思って会議に向かう。それが心理的安全に少しは寄与しているのでは、と感じることもあります。

言いたいことが言い合えること。リーダー個人の振る舞いだけでなく、チーム全体としてそうなっていくべきだ、という話も本書にはあります。能動的に動いた人間だけが、その環境をつくれる——という部分にも、同意しました。来たくなる場所、言い合える関係性。至極真っ当なことですが、環境が整備されていなければ届きません。そこに向かわなければならない、という認識も持っています。


まとめ

『「僕たちのチーム」のつくりかた』は、1on1の質問軸や会議の進め方といった実践的なTipsも多い本です。ただ、私が強く残したかったのは、その手前にある前提の部分です。

  • チームメンバー一人ひとりが主人公である
  • ヒエラルキー型から、フラットで多様性のあるチームへ
  • リーダーはファシリテーターとして、環境をつくる

000095 で紹介したおすすめ本のリストには載せていませんでしたが、組織とチームの話を読むなら、こちらも候補に入る一冊だと感じています。1on1や会議の具体的な進め方まで踏み込みたくなったら、また別の記事で書こうと思います。


参考